【RCT】リドカインを皮膚上に直前に1-2mL滴下することで穿刺痛を有意に減じることができる
■キシロカインゼリーを皮膚に塗った場合,5分程度で鎮痛効果が出るとされてますが,この研究の場合は注射前にどれくらいの時間をおけばいいんだろう?と見てみると,「immediately prior to subcutaneous injection of the 1% lidocaine」と書いてありますので,ほんと直前でいいということなんでしょう.ですので,1%リドカイン注射器から皮膚上に滴下してそのまま刺せばいい,という非常にお手軽な手技になります.
ベッドサイド手技で生じる疼痛における2つのリドカイン投与方法の比較:無作為化臨床試験
Patel BK, Wendlandt BN, Wolfe KS, et al. Comparison of Two Lidocaine Administration Techniques on Perceived Pain From Bedside Procedures: A Randomized Clinical Trial. Chest. 2018 Apr 24[Epub ahead of print]
PMID: 29698720
Abstract
【背 景】
リドカインは手技を行う上での疼痛を減じるために使用されるが,リドカイン注射中は逆に疼痛が増してしまう.疼痛の知覚は疼痛ゲート制御理論に基づいて,温度や接触のような非有害な刺激によって制御することができる.我々は,注射前に皮膚に滴下したリドカインが皮膚表面を冷やすあるいは皮膚表面に触れることで,注射による疼痛を軽減すると仮説を立てた.
【方 法】
手技を受けた患者の無作為化臨床試験を2011年2月から2015年3月まで行った.全患者が1%リドカインの皮下注射を受けた.介入群に無作為割り付けされた患者は,リドカイン皮下注射の前に1-2mLのリドカインを皮膚表面に滴下した.患者は介入の詳細については盲検化されており,視覚的アナログスケールを用いて主要な結果(手技による疼痛の程度)を記録するため,盲検化された研究者によって調査された.
【結 果】
481例の患者で同意が得られ,治療を無作為化された.視覚的アナログスケールを用いた結果,介入群で手技による疼痛の主要評価項目は有意に改善した(対照群16.6±24.8mm vs 介入群12.2±19.4mm; p=0.03).サブ解析では,末梢挿入中心静脈カテーテル(PICC)において疼痛スコアが改善していた(対照群18.8±25.6mm vs 介入群12.2±18.2mm; p=0.02).
【結 論】
ベッドサイド手技は非常に一般的に行われている.手技による疼痛の程度に関するデータとそれを軽減するための方法はインフォームドコンセントのプロセスや患者満足度において重要である.全体として,一般的なベッドサイド処置から報告される痛みは弱いが,リドカインを皮膚表面に滴下して疼痛知覚を制御することにより疼痛をさらに減じることができる.