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EARLの医学ノート

drmagician.exblog.jp

敗血症をメインとした集中治療,感染症,呼吸器のノート.Stop Sepsis, Save Lives.

【文献】血圧の低下した敗血症患者では救急隊による早期輸液は死亡率を改善する

■敗血症性ショック疑いの患者では初期急速輸液が重要であることはゴールデンスタンダードになっていますが,ERよりも前の救急隊の段階で輸液するとどうなるか,というコホート研究がJAMA Network Open(最近作られたJAMAファミリー誌ですかね?)にpublishされたので紹介します.初期血圧が低いほど(105mmHg程度以下で有意)死亡率が減少するという結果でした.輸液投与量はだいたい輸液1本ぶんで,救急隊接触時~搬送の間の500mLの投与でも予後が変わる可能性があるということです.
敗血症患者における救急隊による早期輸液投与と院内死亡の関連性
Lane DJ, Wunsch H, Saskin R, et al. Association Between Early Intravenous Fluids Provided by Paramedics and Subsequent In-Hospital Mortality Among Patients With Sepsis. JAMA Netw Open 2018; 1: e185845
【目 的】
患者の初期血圧を考慮して,敗血症患者において,救急隊による早期の輸液投与と院内死亡の関連性を検討する.

【方 法】
カナダのアルバータにおいて,大規模救急システムでの救急隊によって病院搬送された1871例の敗血症患者の1年間(2015年4月1日から2016年3月31日まで)のコホート複合解析によるコホート研究を行った.救急隊による早期輸液投与と院内死亡の関連性の検討において,交絡の最小化のためにベースラインの患者特性によって調整する多変量ロジスティック回帰解析および傾向スコアマッチング解析を用いた.病院前早期輸液投与と病院での治療時間との関連性を評価するためにノンパラメトリック回帰解析を用いた.介入は救急隊接触時および病院搬送中の輸液投与とした.主要評価項目は院内死亡とした.副次評価項目は病院前と救急部門での治療時間とした.

【結 果】
計1871例の敗血症患者(女性955例,男性916例,年齢中央値77歳[四分位範囲 64-85歳])が検出され,院内全死亡率は28.2%(528例)であった.半数超の患者(1015例[54.2%])は救急隊による輸液投与を受けており,輸液量中央値は400mL(四分位範囲250-500mL)であった.輸液投与による死亡への関連性は患者の初期血圧(範囲42-222mmHg; p<0.001)に依存していた.例えば,初期血圧中央値が100mmHgの患者においては,輸液投与は死亡率減少に関連していたが(OR 0.73; 95%CI 0.56-0.95),初期収縮期血圧中央値が125mmHgの患者においては,輸液投与は院内死亡とは関連していなかった(OR 1.41; 95%CI 0.81-2.44).同様の結果が傾向スコアマッチング解析でも得られた.輸液投与は輸液を受けない患者に比して病院前の時間を増加させたが(中央値差3.2分; 95%CI 1.7-4.7分),救急部門でのアセスメントの時間とは関連していなかった(中央値差2.4分; 95%CI -2.4 to 7.3分).

【結 論】
敗血症で血圧が低い患者においては,救急隊による輸液投与は院内死亡の減少に関連していたが,高い初期収縮期血圧の患者においては関連はみられなかった.

by DrMagicianEARL | 2018-12-25 14:51 | 敗血症