【RCT】成人女性のにきびにスピロノラクトンが有効
■作用機序であるが,男性ホルモンのアンドロゲンは皮脂腺の働きを刺激し,皮脂の過剰な産生を引き起こすことが知られており,これが毛穴を詰まらせ,にきびを形成する一因となる.スピロノラクトンはアンドロゲン受容体阻害作用とアンドロゲン産生抑制作用により皮脂の産生を減らし,にきびの発生を抑える.
イングランドおよびウェールズにおける尋常性ざ創(にきび)を有する女性におけるスピロノラクトンの有効性:実用的多施設共同第Ⅲ相二重盲検無作為化比較試験
Santer M, Lawrence M, Renz S, et al. Effectiveness of spironolactone for women with acne vulgaris (SAFA) in England and Wales: pragmatic, multicentre, phase 3, double blind, randomised controlled trial. BMJ 2023; 381: e074349
PMID: 37192767
https://doi.org/10.1136/bmj-2022-074349
Abstract
【目的】成人女性の尋常性ざ創(にきび)に対する経口スピロノラクトンの有効性を評価する.
【デザイン】実用的な,多施設を対象とした第Ⅲ相二重盲検無作為化化比較試験.
【設定】英国およびウェールズの一次および二次医療環境,コミュニティとソーシャルメディアでの広告
【参加者】最低でも過去6ヶ月間顔面ににきびがあり,経口抗生物質が必要と判断された18歳以上の女性.
【介入】参加者はランダムに(1:1)毎日50 mgのスピロノラクトンまたはプラセボに割り当てられ,6週間まで投与,その後100mg/日のスピロノラクトンまたはプラセボが24週間まで投与された.参加者は局所治療を継続できた.
【主な評価項目】主要評価項目は12週時点のにきび特異的生活の質(Acne-QoL)症状の部分評価スコア(範囲0-30,高いスコアはQoLの改善を反映).副次評価項目は24週時点のにきび-QoL,参加者自己評価の改善; 治療成功のための研究者の全体評価(IGA); そして有害事象.
【結果】2019年6月5日から2021年8月31日までの間に1267人の女性が適格性を評価され,410人が,介入群(n=201)または対照群(n=209)にランダムに割り付けられ,342人が主要な分析に含まれた(介入群ではn=176,対照群ではn=166).基準時点の平均年齢は29.2歳(標準偏差7.2),389人中28人(7%)が白人以外の民族で,軽度のにきびが46%,中度が40%,重度が13%であった.基準時点のにきび-QoL症状スコアの平均は13.2(標準偏差4.9),12週時点ではスピロノラクトン群が19.2(6.1),プラセボ群が17.8(5.6)であった(スピロノラクトンを支持する差1.27(95%CI 0.07-2.46),基準変数に対する調整後).24週時点のスコアは,スピロノラクトン群が21.2(5.9),プラセボ群が17.4(5.8)であった(絶対差3.45(95%CI 2.16-4.75),調整後).スピロノラクトン群の参加者の方がにきびの改善を報告した人が多かった: 12週時点では有意な差はみられなかった(72% vs 68%,OR 1.16(95%CI 0.70-1.91))が,24週時点で有意な差が認められた(82% vs 63%,OR 2.72(95%CI 1.50-4.93)).治療成功(IGAによる分類)は,スピロノラクトンを使用した168人中31人(19%)と,プラセボを使用した160人中9人(6%)でした(5.18(2.18~12.28)).有害事象はスピロノラクトン群でやや多く,頭痛の報告が多かった(20% vs 12%,p=0.02).重篤な有害事象の報告はみられなかった.
【結論】スピロノラクトンはプラセボに比べてアウトカムを改善し,24週時点での差は12週時点よりも大きかった.スピロノラクトンは,にきびのある女性にとって経口抗菌薬の有用な代替手段である.