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EARLの医学ノート

drmagician.exblog.jp

敗血症をメインとした集中治療,感染症,呼吸器のノート.医療におけるAIについても

【SR】敗血症における血液浄化のネットワークメタ解析

■敗血症に対する血液浄化療法の効果を検討したRCTのネットワークメタ解析がCrit Care Med誌にpublishされたので紹介する.結果は,PMX-DHPと血漿交換は,重症感染症または敗血症/敗血症性ショック患者の生存率を改善する可能性があるが,これらの結果を明確に推奨するのは難しく,研究が限定的であることとエビデンスの不確実性に基づいている.また,交換とHA330血液浄化(またはCVVHとの併用)は,ICU滞在日数または人工呼吸日数の削減につながる可能性がある.メタ解析に含まれた各研究間の死亡率には大きな異質性があった.

■なお,本システマティックレビューのAMSTAR2による評価は,16項目すべてを満たしており,高品質の判定となる.すなわち,利用可能な研究の結果の,正確かつ包括的な要約を提供している.
重症感染症または敗血症/敗血症性ショックを持つ成人患者のための血液浄化:無作為化比較試験のネットワークメタ解析
Chen JJ, Lai PC, Lee TH, et al. Blood Purification for Adult Patients With Severe Infection or Sepsis/Septic Shock: A Network Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. Crit Care Med 2023 Jul.20[Online ahead of print]
PMID: 37470680
https://journals.lww.com/ccmjournal/Fulltext/9900/Blood_Purification_for_Adult_Patients_With_Severe.185.aspx

Abstract

【目的】本研究は,重症感染症または敗血症を有する成人患者に対する各種血液浄化法の結果の利益を評価するための包括的で最新のシステマティックレビューとネットワークメタ解析(NMA)を実施することを目的とした.

【データソース】言語制限なしでPubMed,MEDLINE,臨床試験登録,Cochrane Library,Embaseデータベースを検索した.

【研究選択】ランダム化対照試験(RCT)のみが選択された.

【データ抽出】主要評価項目は全体的な死亡率であった.副次評価項目は,人工呼吸管理(MV)の日数とICU滞在期間,急性腎傷害(AKI)の発生率,及び腎代替療法の必要性だった.

【データ統合】我々は合計60のRCTを含む4,595人の参加者について,17の介入における16の血液浄化法で比較した.ポリミキシンB血液灌流(RR 0.70;95%CI 0.57-0.86)と血漿交換(RR 0.61;95%CI 0.42-0.91)は低死亡率と関連していた(それぞれ非常に低いと低い確実性のエビデンス).高い臨床的異質性と非推移性の存在のため,ポリミキシンB血液灌流の潜在的な利点は結論が出ていない.副次評価項目の解析は利用可能な研究の少なさにより限定的だった.HA330 with high-volume continuous venovenous hemofiltration(CVVH),HA330,およびstandard-volume CVVHはICU滞在期間の短縮と関連していた.HA330 with high-volume CVVH,HA330,およびstandard-volume CVVHはMVの日数を減少させるのに有利だった.どの介入もAKIの発生率や腎代替療法の必要性を有意に減少させることは示されなかった.

【結論】我々のNMAは,血漿交換とポリミキシンB血液灌流が,標準治療のみと比較して,重症感染症または敗血症/敗血症性ショックを持つ成人患者に潜在的な利益をもたらす可能性があることを示唆しているが,ほとんどの比較は低いまたは非常に低い確実性のエビデンスに基づいていた.ポリミキシンB血液灌流の治療効果は不確かである.体外血液浄化から利益を得る可能性がある特定の患者集団を特定するためには、さらなるRCTが必要である.

by DrMagicianEARL | 2023-07-24 07:32 | 敗血症

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