【SR】新型コロナワクチンはCOVID-19罹患後症状(後遺症)を予防する
■32件の研究が抽出され,すべて非無作為化試験であった.14件が後ろ向きコホート研究,9件が前向きコホート研究,5件が横断研究,4件が症例対照研究であった.32件の研究の品質評価スコアに関しては,Downs and Black品質ツールによると,研究の3/4以上 (28 件) が良好な品質 (28 点中19 ~ 23点),3件は公正(14~18ポイント),1件は質が低かった(≤13 ポイント).本システマティックレビューに開示すべき利益相反はなかった.
■このうち,COVID-19罹患前後に少なくとも2回の新型コロナワクチン接種を受けた人の罹患後の状態を評価した24件620,221例のメタ解析が行われ,COVID-19罹患後症状は未接種者では11.8%,接種者5.3%であり,ワクチンによるCOVID-19罹患後症状予防効果は32.0%(95%CI 11.5%~47.7%)であり,異質性はみられなかった(I2=0%).
(1)21件はCOVID-19罹患前のワクチン接種のデータがあり,COVID-19罹患後症状予防効果は36.9%(95%CI 23.1%~48.2%)であった.
(2)5件はCOVID-19罹患後のワクチン接種のデータがあり,予防効果はみらなかった.
(3)7件はオミクロン流行期でのCOVID-19罹患前のワクチン接種のデータがあり,予防効果は31.6%(95%CI 13.8%~45.8%)であった.
(4)3件はCOVID-19罹患前のブースター接種のデータがあり,予防効果は68.7%(95%CI 64.7%~72.2%)であった.
COVID-19罹患後遷延症状予防におけるCOVID-19ワクチンの効果:最新リサーチでのシステマティックレビューとメタ解析
Marra AR, Kobayashi T, Yano Callado G, et al. The effectiveness of COVID-19 vaccine in the prevention of post-COVID conditions: a systematic literature review and meta-analysis of the latest research. Antimicrob Stewardship Healthcare Epidemiol 2023 Oct.13 [Online ahead of print]
https://www.cambridge.org/core/journals/antimicrobial-stewardship-and-healthcare-epidemiology/article/effectiveness-of-covid19-vaccine-in-the-prevention-of-postcovid-conditions-a-systematic-literature-review-and-metaanalysis-of-the-latest-research/A0B115B5D3AA60846799857B801D116E
Abstract
【目的】COVID-19ワクチンの接種完了者におけるCOVID-19罹患後の状態(long-COVID)に対する有効性について,システマティックレビューとメタ解析を行った.
【デザイン】システマティックレビュー/メタ解析
【方法】2019年12月1日から2023年6月2日まで,PubMed,CINAH,EMBASE,Cochrane Central,Scopus、Web of Scienceを検索し,COVID-19ワクチンを2回接種した接種者におけるCOVID-19罹患後の状態に対するCOVID-19ワクチンの有効性(VE)を評価する研究を検索した.COVID-19罹患後の症状は,COVID-19罹患後4週間以上持続する症状と定義した.ワクチン接種者とワクチン未接種者のCOVID-19罹患後症状に関するプール診断オッズ比(DOR)(95%信頼区間)を算出した.ワクチンの有効性は100%×(1-DOR)で推定した.
【結果】775,931人を対象とした32の研究でCOVID-19罹患後の状態に対するワクチン接種の効果が評価され,そのうち24研究がメタ解析に含まれた.接種者におけるCOVID-19罹患後症状に対するプールDORは0.680(95%CI 0.523-0.885)で,推定VEは32.0%(11.5%-47.7%)であった.ワクチンの有効性は,COVID-19罹患前にCOVID-19ワクチンを2回接種した人では36.9%(23.1%-48.2%),COVID-19罹患前に3回接種した人では68.7%(64.7%~72.2%)であった.層別解析では,COVID-19感染後にCOVID-19ワクチン接種を受けた人では,COVID-19感染後の状態に対する予防効果は認められなかった.
【結論】ウイルスに感染する前にCOVID-19の完全なワクチン接種を受けることで,オミクロン流行期を含む研究期間を通じてCOVID-19罹患後の症状が有意に減少した.ワクチンの有効性は追加接種を行った場合に増加した.