【研究】血流感染症の管理をChatGPT-4に相談するのは現時点では危険
■今回紹介するClinical Infectious Diseaseにpublishされた研究は,血流感染症の管理をChatGPT-4に相談した場合の精度について検討しており,経験的抗菌薬の適切性は64%,限定的抗菌薬に至っては36%しかなかった.全体として,管理計画が最適であったのは44例中たったの1例のみであり,39%では満足できるものであったが,16%では有害であった.これらの結果から,現時点で血流感染症の管理についてChatGPT-4に相談するのは危険であると結論づけている.
チャットボット人工知能は,血流感染症管理において感染症専門医の代替となるか?
Maillard A, Micheli G, Lefevre L, et al. Can Chatbot artificial intelligence replace infectious disease physicians in the management of bloodstream infections? A prospective cohort study. Clin Infect Dis 2023 Oct 12[Online ahead of print]
PMID: 37823416
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37823416/
Abstract
【背景】チャットボット人工知能(AI)の開発により,医療における使用について大きな疑問が投げかけられている.我々は,血液培養陽性患者に対する実際の診療においてChatGPT-4が提案する管理の質と安全性を評価した.
【方法】三次医療機関における4週間の連続した感染症(ID)診察のうち,初回血液培養陽性患者のデータを前向きにChatGPT-4に提供した.ChatGPT-4は,包括的な管理計画(疑い/確定診断,ワークアップ,抗菌薬療法,感染源対策,フォローアップ)を提案するよう求められた.ChatGPT-4が提案した管理プランと,IDコンサルタントが文献やガイドラインに基づいて提案したプランを比較した.比較は患者管理に関与していない2名のID医師が行った.
【結果】初回血液培養陽性の44症例を対象とした.ChatGPT-4はすべての症例で詳細かつ明瞭な回答を提供した.AIの診断は26例(59%)でコンサルタントと同じであった.提案された診断検査は35例(80%)で満足のいくものであり(すなわち,重要な診断検査の欠落はなかった),経験的抗菌薬療法は28例(64%)で適切であり,1例(2%)で有害であった.感染源対策が不十分であった症例は4例(9%)であった.限定的抗菌薬療法は16例(36%)で最適であり,2例(5%)で有害であった.全体として,管理計画が最適であったのは1例のみであり,17例(39%)では満足できるものであり,7例(16%)では有害であった.
【結論】2023年に専門医の助言を求める場合,特に重症感染症については,コンサルタントの意見を聞かないChatGPT-4の使用は依然として危険である.