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EARLの医学ノート

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敗血症をメインとした集中治療,感染症,呼吸器のノート.Stop Sepsis, Save Lives.

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■ながらくこちらを更新していませんでしたが,新型コロナウイルスに関しては日々状況変化や大量の情報がでるため,ブログよりもスピーディーかつこまめに情報が出しやすいTwitterFacebookページの方で活動しています.今回は少し長めの私見になりますのでこちらに.

■Go To キャンペーンが前倒しされ,7月の4連休に重なる形でスタートします.背景には,新型コロナウイルスによってもっとも経済的ダメージを受けている観光業界の救済の意味合いもあるでしょう.調べてみるとどこの宿泊業もかなり深刻な状況で,既に倒産の連鎖が始まっています.いろいろ賛否あるようですが,リスクの高さについて.東京から地方へ行くのは主に観光,出張,帰省の3パターンです。地方にしてみれば,どれも新型コロナウイルスの持ち込みリスクはありますが,ではどの程度の伝播リスクなのか.東京は感染者の詳細が分かりませんが,それ以外の都道府県の感染者情報には全て目を通してきた中での考察になります.

■感染している東京からの観光客が地方に来たとして,地方の人に感染させうるか?考えてみれば,地方の人間と観光客が,それも無防備に濃厚接触しうる機会は通常ほとんどありません.ホテルや旅館の方は接触リスクがありますが,2月以降宿泊業においては厳格な感染対策がなされていて,宿泊客から従業員に感染したという事例はほぼ見られませんでした.このため,都市部の観光客が地方でコロナと診断されてもその後の二次感染が発生した事例は接待を伴う飲食店等を除けばほとんどなく,孤発例が大半です(こういうこともあって,Go To キャンペーンに対して私はそこまで過敏にはなってません).

■出張はどうか?出張は仕事の内容にもよりますが,地方の支社等に行く際,当然支社側も感染対策が現在はなされてますから,感染リスクはある程度は下がります.出張者が宿泊した場合については前述の観光客のところでお話しした通り,ホテル従業員への感染リスクは非常に低いです.リスクがあるとすればやはり出張先での会食,接待を伴う飲食店の利用になってきます.

■最後に帰省.おそらくこれが一番ハイリスクで,私は第2波の最大のリスクとして警戒しています.これまでもいろんな地域で帰省からの二次感染やクラスター発生が見られています.帰省者は家族内感染,あるいは友人との会食が多くなりますし,家族内となると高齢者層にまで感染リスクが及びます.マスクなしの濃厚接触機会が多いことから,いろんな意味で帰省が最もリスクが高いですから,7月下旬の連休,さらにはお盆休みの後は特に警戒が必要になります.

■これらから考えるに、東京でコロナに感染した方が地方に行った場合の伝播リスクはおそらく
 帰省>出張>観光
だと思います.そしてこの3つに共通する「地方の人に感染させる機会」が会食,もしくは接待を伴う飲食店の利用になってきます.これを避けるだけでも地方への伝播はかなり防げると思います.

■経済活動が継続されている以上,十把一絡げな対策はそろそろ考え直すべきです.東京で感染者が増えた,だから緊急事態宣言を出そう,という極端なやり方ではなく,どこで感染が主に発生していて,その局所にどう介入すれば防げるかを行っていくフェーズです.県を跨いだ移動も同じで,東京から地方へ移動しただけでコロナが伝播されるわけではなく,地方においてどういう行動をとると伝播するか,何をすれば地方に持ち込まれても伝播を防げるか,というところまで考える時期かと思います.

■じゃあ今,東京から地方に行っていいのか?これも個人個人のリスク見積もり次第と考えています.体調不良があればもちろん論外ですが,過去2週間の自分の行動歴・接触歴,3密回避(特に接待を伴う飲食店や換気が悪く狭い飲食店の利用有無),適切な手指衛生を適切なタイミングでちゃんとできていたか,などを振り返って自分にどれくらいのコロナのリスクがあるのかを見積もれると思います(そういう行動歴等の記録をしましょうね,ってだいぶ前の専門家会議で言われてましたよね).その上でリスクが全然ないなら東京から地方に行くことは私は制限しなくていいと思います.あと接触確認アプリはインストールしておきましょう.

■東京の感染者数増加は派手に見えますが,これでも有病率はインフルエンザと比較すれば何桁も少ない程度.前述の通り,個々のリスク見積もりと地方での局所の回避策さえやればGoToキャンペーンはそれなりに安全に施行できると思います.ですので政府にはそういう経済活動へのダメージが少なくかつピンポイントに狙った感染対策を講じながらGoToキャンペーンを進めていただきたいのですが,7月12日の西村担当大臣の記者会見ではあまり感染対策に関して具体策なく旅行会社に丸投げしている印象を受けました.ですので,このままではもう観光客の個々の意識と受け入れる地方側の感染対策に頼るしかありません.より踏み込んだ声明を政府からだしていただかないと伝播リスクは下げられません.
by DrMagicianEARL | 2020-07-13 08:03 | 感染症
更新履歴
2020年7月3日「第56回宮城県公衆衛生学会(7月3日オンライン開催)」追加

研究会,講演会,学会日程
※学会総会に加え,主に敗血症,救急集中治療,感染症の研究会,講演会を適宜掲載していきます(本記事を更新していきます).あくまでも私の知る範囲でのものだけです.

※ここに掲載されていない研究会・講演会で掲載希望等あればコメント欄に記入するか,以下までメールで御連絡下さい.開催場所に制限はありませんが,内容は本ブログの内容の関係上,敗血症,感染症,救急/集中治療に関連するものに限ります.日時,演題名,会の主な対象や主旨等を記載して下さい.
⇒メールはこちらcum_earl@yahoo.co.jp
第56回宮城県公衆衛生学会(オンライン開催)
日時:2020年7月3日(金)17:30-19:30
会場:ZOOMでのオンラインウェビナー形式
参加資格:どなたでも無料で参加可能。参加希望者はmiyagiph31@gmail.comにメールを送ってください。直前まで受け付けております。

テーマ:「宮城県における新型コロナ対策」

司会:
 小坂 健(東北大学・宮城県公衆衛生学会会長)
 目時 弘仁(東北医科薬科大学衛生学教授)

17:40-18:10
講演1:「COVID-19流行におけるTwitterを用いた県レベルでの市民への情報提供,啓蒙,リスクコミュニケーション」
DrMagicianEARL(EARLの医学ノート管理人)

18:15-18:40
講演2:「宮城県の対策とこれからの課題」
小坂 健(東北大学大学院教授)

18:45-19:30
講演3:「ウィズコロナの社会について」
坪野 吉孝(東北大学大学院客員教授・精神科医/元医学部教授・法学部教授・経済学部教授/厚生労働省クラスター対策班)
 新型コロナウイルスの影響でいろんな学会が延期になりましたが,今回半年ぶりに学会で講演させていただきます。ZOOMを使った講演は初めてなので不安ではありますが(汗)この3ヶ月間発熱外来で300人近くの患者を診察し,コロナも診断したのでその臨床的お話でもよかったのですが,公衆衛生学会ということで,SNSでの活動を講演させていただくことにしました。

by DrMagicianEARL | 2020-07-03 11:41 | 研究会・講演会・学会